2017年9月。待望の4K360度動画が撮影できるRICOH「THETA V」が発売された。従来の「THETA」は、360度動画の解像度が2K程度しかなく、360度動画用としてはまったく使い物にならなかった。
2017年時点。360度を4Kで撮影できるコンシューマー向けの360度カメラは多数販売されている。「THETA V」の魅力は、4K30fpsの360度動画が撮影できることと、さらに4chマイクによる360°空間音声記録に対応していることだ。この2つの機能をサポートしている国内市販クラスの360度カメラは、他には無い。
「THETA」の色やステッチ(画像の合成面)の品質が良く定評がある。さまざまな360度カメラと比較しても、そのあたりの技術がとても高い。「THETA V」はそれらの技術を引き継ぎながら、4Kに対応したのだ。
360度動画に興味があれば、難しく考える前に「THETA V」を購入するのが良いだろう。後悔はしない360度カメラだといえる。
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「THETA V」は4K30fpsビットレートは56Mbps
コンシューマー向けの360度カメラは、データが圧縮されすぎて使い物にならないことが多い。「THETA V」の4Kは56Mbpsあり、なかなか期待ができる。fps(1秒間あたりのフレーム数)も15fpsや24fpsではなく、30fpsを採用できている。これも重要なポイントだ。業務用360度カメラの最小構成として、画角を220度以上に改造したGoProを2台(通称改造GoProのバックtoバック構成)使うことがある。GoProのビットレートは60Mbpsなので、それに近いビットレートを持つことになる。
360°空間音声対応
360度映像の音声はとても重要だ。音声がしっかりしていると、360度の立体感がグッとよくなる。空間音声をざっくり説明すると、4chマイクにより4本のオーディオトラックが収録できる。360°空間音声に対応したYoutubeに360度動画をアップすると、見る方向に合わせて4本のオーディオトラックが再生される。立体的な音響を得られる。空間音声により360度映像の品質が高まることは確かだが、プラットフォームの対応や、ヘッドフォンが必要であったり、単純な4chマイクではそこまで立体に聞こえないことも多い。言われてみれば、、、、、。ということが多い。屋外など広い空間では、そもそも音の方向の違いが少なかったりもする。
4本のマイクでは少なく、もっと大量のマイクが必要という人もいれば3DCG空間に音声を置いて再生しないと立体感が出ないという人もいる。とはいえ、「THETA V」が4chマイクによる360°空間音声記録に対応したことは素晴らしい。オプションの4chマイクもオーディオテクニカ社のユニットを採用しているため、なかなか高品質な収音が可能になっている。
「THETA V」実際に360度動画の画質をチェック
サンプルの360度動画がYoutube多数上り始めた。個人が手軽に360度撮影できるカメラとしては十分に高画質だ。6K~8Kなど、4K以上を撮影できる撮影用360度カメラと比べると、当然ながら解像感は見劣りする。ハイライトやシャドーも業務用の360度カメラの方が調整ができるだろう。メーカーのサンプル映像となるが、高画質に操作した映像には見えない。このような程度の撮影が可能だと思われる。つまり業務用の360度カメラと比べると見劣りするが、誰でもそれなりの画質でステッチのズレが無い映像を撮影できてしまう。晴れた屋外や照明がしっかりとした屋内の撮影であり、HMDやスマートフォンで視聴する前提なら「THETA V」の画質で十分だ。
「THETA V」他にも充実した機能とオプション品
「THETA V」は他にもISO6400 (動画)までの高感度撮影、1/25000秒〜60秒までのシャッタースピードの設定、ジャイロセンサー搭載、4Kライブストリーミングなど充実した機能を持つ。将来的にはジャイロセンサーを利用した、動画のスタビライズ機能も付くのではないだろうか。水中ハウジングケースや専用外部マイク3Dマイクロフォン TA-1も用意されている。「THETA V」をオススメできない理由がまったくない。専門的な360度撮影業者以外であれば、「THETA V」で撮影すれば十分だと思えるぐらいだ。
しかしながら、上記のメーカー360度動画サンプルに、画質の不足を感じるのであれば、撮影業務用の360度カメラを求める必要があるだろう。